■長江 三峡 その2






●4日目  荊沙市−宜昌





4日目は朝から霧でした。船の一番上の甲板に出ましたら20メートルぐらい先が見えません。甲板は人工芝が張られていて長江の景色が間近に見る事が出来るようです。この三峡号は残念ながら豪華船ではなくてランクでは中程という所で船賃は大体7万円という事が武漢で購入した三峡の観光船の時間表に出ていました。豪華船では船体にいろいろとガラスや板が張られかえって乗客が三峡の景色を見るのに不都合があるという話ですのでビデオ撮影が目的の私には丁度良い設備とサイズでした。

朝食後 荊州市内観光という事になりました。荊州はこの時は荊州と沙市が一体となり荊沙市となっていました。(帰国後まただれかの鶴の一声で又元の名前に戻ったそうです)バスは荊州博物館に向かいます。荊州は昔 江稜と呼ばれ 長さ数Kmの城壁で囲まれた都市だったようで、この城壁を中心に現在は街が発展してきたようです。

荊州博物館で最初に二千年前の男性のミイラを見ました。このミイラは湖南省の長沙の馬王堆から発見された女性のミイラと形態も年代もほぼ同一のよう
でなかなかグロテスクな展示でした。最後に楚樂宮という所で古代の大形楽器 編鐘の音楽を初めて聞く事が出来ました。20年ほど前に上野の国立博物館で、馬王堆の女性ミイラと共に編鐘の実物が公開され、編鐘の音を是非聞いてみたいと以前から思っておりました。その音楽も思っていたよりも現代風でもう少し演奏が上手であればと残念でした。帰国時に上海で編鐘のCDがあり購入出来ました。



荊州博物館 2000年前の遺体





荊州博物館 楚楽宮の編鐘の演奏




荊州博物館の次は江稜碑苑と荊州城東門です。碑苑の方は私には全くわかりませんでした。荊州城東門は三国史の頃の城門がそのまま残っているもので西安の城門を小さくしたようなものでした。


荊州城 東門




11時頃に三峡号に戻りました。天候も霧が上がり三峡上りには良い天候となり、出航の様子をビデオに撮り、すぐに昼食となりました。
これ以後 重慶に到着するまで快晴が続き、素晴らしい三峡の景色と旅を満喫する事が出来ました。この辺りの長江は平原を流れる大河という風で川幅も1Km近くもあるようです。川幅に余裕があるせいか行き違う船舶も思い思いのコースを航行しているようでのどかな長江の景色が せせこましい日本人観光客の私に、大陸の雄大さを感じさせます。



三峡号 荊州を出航





荊州 万寿塔





三峡号 最上部甲板(前部 立入禁止)





三峡号 最上部(後部)





長江の貨物船 何隻も繋がっている





三峡号の船室通路





長江 堰堤 牛





三峡号のへさき





地元の生活船




この日は暗くなるまで長江の ゆったりした流れを遡り もやに霞んだ両岸を見ながら客室でお茶を飲んでいました。小出さんは隣の奥さんのいる船室に出かけています。日も暮れかかり丁度 沈む夕日が三峡号の舳先の方向に見えます。
夕日の反射する光が長江の川面に長く光の道路を作っています。その道路の両脇には小さな船が何艘も見え まるで絵のようです。



夕日




長江の船には私たちが乗っているような豪華客船?、地元の連絡船、資材を運ぶ貨物船、重慶からと思われる自動車を積んだ船、いろいろな船が行き来し少しでも船足が異なると最後には追い抜いたり、追い抜かれたりします。
こういった客船より速い船はあまりありませんが、中には水中翼船もあり猛烈なスピードで追い抜いていきます。



三峡号の船尾




三峡号は暗くなると宜昌市に近づき長江唯一のダム 葛州覇ダムに向かいます。宜昌に近づくにつれ平坦だった地形が少しづつ起伏のある地形に変わり始めました。船内では本来最初の日の夜に行われる船長主催の夕食兼カクテルパーティが始まりました。上海から来た、若いグループはなかなか場慣れしているようです、やはり上海の人々はアカ抜けしているようです。1時間ほどで食堂に移動して楽しい雰囲気が続きます。


船長主催ウエルカムパーティ





夕食




夕食後 船はいよいよ葛州覇ダムの閘門に向かいます。葛州覇ダムには船をダムの上下間に移動させる水式エレベーターがあります。そのエレベーターの上と下にはそれぞれ閘門と呼ばれる巨大なゲートがあります。
三峡号はゆっくりと下の閘門を通過し、上側の閘門のすぐ前まで入っていきました。後ろには続々と他の船が隙間を開けずに入ってきます。後ろの閘門が閉まり暫くすると上の閘門の真下から水が出てきます。それに合わせて水位もほんの少しづつ上がってきているようです。船がそれに合わせてゆっくりと上昇しているようでビデオカメラをインターバル撮影モードにして実際の20倍の速度で撮影を行いました。水位が上がり初め、20分程度で三峡号は葛州覇ダムの上側の水位と同じ場所に上昇しました。



葛州覇ダム下側閘門と三峡号





葛州覇ダム上側閘門手前で待つ三峡号





水位の上昇終了




上側の閘門がゆっくりと開き、三峡号が最初に閘門から離れてゆきました。
三峡号が葛州覇ダムの閘門に入って出るまで通過するまでは、1時間から2時間程度はかかるようです。三峡ダムは水位が150m程度あり葛州覇ダムが25m程度で1段の閘門ですから三峡ダムでは5段程度の閘門となるそうです。すると三峡ダムの閘門を通過するには数時間もかかるのではないかという話が伝わっていてその時間の為に中国の人の中にもかなり三峡ダムの通過には否定的な人もいるそうです。



閘門を通過





三峡号は葛州覇ダムを通過後すぐに長江右岸の埠頭に停泊しました。この日はそこで泊りです。




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